第1期 外伝
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外伝1
選ばれし者 第一話
【セツナ】
アギト候補生の為に死を選ぶか……
それが汝の意思か?
【シュユ】
朱雀クリスタルの意思だ。
故もなし。
【セツナ】
是ではある。しかしなれど真でもなし。
変わらぬな、お前は。あの時のままだ。
【シュユ】
…………
ぐっ、味方は全滅……か。
囲まれたな。
【朱雀兵】
おい、どうする!? シュユ?
いくらお前がアギト候補生でも、あの数じゃ……
【シュユ】
朱雀軍に動きはない。
どうやら、我らは見捨てられたようだな。
【朱雀兵】
ちくしょう、ふざけやがって!
あのハゲ、生きて戻ったらブン殴ってやる。
【白虎兵】
おい、こっちだ!
朱雀の生き残りがあそこにいるぞ!
【朱雀兵】
ひっ!
うわぁ、見つかった!
もう駄目だ!
【シュユ】
くっ、どうする?
【???】
我は求む
ルシに相応しき強き心--
【シュユ】
この声は?
【???】
汝、朱雀クリスタルに従うか、否か?
【朱雀兵】
どうにかしてくれよ、シュユ!
お前は伝説の0組なんだろ!
【シュユ】
迷うな!
我はアギト候補生。
我が使命は朱雀クリスタルの僕。
否やのあろうはずもなし!
ぐぉぉぉっ!
【白虎兵】
なんだ!?
【朱雀兵】
はは……すげぇぞ、シュユ!
やればできるんじゃねぇか。やつら全員、丸焦げだ。
シュ……ユ?
おい、お前……どうしたんだ?
【シュユ】
我は、いったい……
【セツナ】
朱雀クリスタルに選ばれたか。
ルシ・シュユ
【シュユ】
ルシ・セツナ!?
教えてくれ、我はどうしたらいい!
【セツナ】
汝は既に人としての生を終えた。
その身滅ぶまで、クリスタルの意思に従うがよい。
私と……同じだ……
選ばれし者 第二話
ぐわーっ!!
【朱雀兵】
はは、すげぇ、すげぇよ、シュユ。
【シュユ】
そうか……かもしれん。
【朱雀兵】
さすが、朱雀のルシ様だ。
お前がいれば白虎軍なんてゴミみたいなもんだ。
【シュユ】
これがクリスタルから与えられた我が使命。
それ以上でも、以下でもない。
【朱雀兵】
なんだよ、褒めてんだぜ。
少しは笑ってみせろって。
【シュユ】
次の戦場に行く。
では、な。
【朱雀兵】
おっ、おい、シュユ!
待てよ!
アイツ、変わっちまったな……
くそっ! つまんねぇ!
【セツナ】
如何にした?
【シュユ】
セツナよ……ルシの果てには何がある?
敵の死も、友の言葉も、我が心に波を打たぬ……
【セツナ】
汝、既に人に非ず。
なれば人の死も、賞賛も、心動かされぬは道理。
それがクリスタルの定め。
至大なる力に意志などあってはならぬこと。
無論、私も変わらぬ。
すべては遠い過去……忘却の彼方……
【シュユ】
これがルシ……クリスタルの守護者か……
笑えぬな……
選ばれし者 最終話
朱雀クリスタルの命により、
これより主らを殲滅する。
【白虎兵】
ひぃっ! 朱雀の甲型ルシだ!
白虎のルシは、何をやって……
【シュユ】
滅せよ!
【白虎兵】
ぐがっ!!
【シュユ】
強すぎたか……
クリスタルよりの力が、日ごとに強くなっていく。
味方に多少の被害が出たようだが、
あのまま戦線が拡大するよりは……!?
【朱雀兵】
おい、バカ野郎……なにやってやがる!
まだ味方が残っていただろうが!
【シュユ】
お前は……
【朱雀兵】
なぁ、いつからだよ……
いつからお前も戦争で算数するようになりやがった!
答えろ!
シュユ・ヴォーグフォウ・ビョウト!!
【シュユ】
…………
我はルシだ。
我が使命はクリスタルに従うこと。
すべてはクリスタルの意志。
我は主らにいかなる保証もしない。
【朱雀兵】
ふざけ……ろ……よ。
お前は……皆の英雄、0組だろうが……
口下手で……不器用な……
でも、付き合いがいい……
俺の……自慢の……
【シュユ】
おい!
…………
【セツナ】
どうかしたか、シュユ?
【シュユ】
?
【セツナ】
そうか……
ルシもまた、泣けるのであるな。
ニンブス討伐任務 前日
【セツナ】
覚悟は決めたか?
白虎のルシ、ニンブスは手強い。
【シュユ】
承知。
我はクリスタルの意志に従うまで……
【セツナ】
戯れを。
それこそが、汝の望む末路であろう。
別れの刻だ。
0組候補生、シュユ・ヴォーグフォウ・ビョウトよ。
【シュユ】
さらばだ。
朱雀最後の偉大なるルシよ。
【セツナ】
そうか……
汝はまだ、笑えるのだな。
外伝2
戦乱の足音 第一話
【ミユウ】
失礼する。○○○○。
魔導院にはもう慣れたかな?
これから僕等は、生徒会として朱雀領内をまわるのだが、
それに君も付き合ってくれないか?
【クイーン】
本来、アギト候補生が魔導院の外に出るには許可が
必要なのですが……それはもうとってあります。
【ミユウ】
では、行こうか。
これも見聞を広めるためだと思って、ついてきてくれ。
ん!? あそこにいるのは?
【少女】
こんにちは。魔導院から来たということは、
お姉ちゃんたちは、アギト候補生様ですか?
【ミユウ】
ああ、そうだ。
【少女】
なら、私のお母さんを知りませんか!?
半年前から魔導院で働いているんです!
【クイーン】
ごめんなさいね。魔導院とひとくちに言っても
たくさんの人が働いているのよ。
【少女】
そうですか……
【ミユウ】
ところで君は、こんな所でなにをしているんだい?
町の近くとはいえ、モンスターも出る。危ないぞ。
【少女】
私、お母さんを待っているんです。
【クイーン】
お母さんを?
【少女】
お母さん、急に仕事が忙しくなったとかで
ずっと帰ってきてくれないんです。
最初は一ヶ月で戻ってくるって言ってたのに
もう半年も経っちゃった。
ほら、この丘からだと魔導院に続く橋が、
よく見えるでしょ?
だから私はここで、今日こそお母さんが帰って
こないかなーって、待ってるんです。
【ミユウ】
魔導院の仕事と言うことは、君のお母さんは
かつてアギト候補生だったのかい?
【少女】
はい!
だから時々、お仕事の話がくるって言ってました。
【クイーン】
諜報部か、兵站局の関連でしょうか?
【ミユウ】
さぁな? しかし、この娘が覚えているということは
無事ではいるのだろう。
【クイーン】
確かに、そうですね。
【少女】
お母さん、今日は帰ってきてくれるかな?
それとも明日かな……
【ミユウ】
残念だが、今週に外出申請があったのは僕等だけだ。
この後に魔導院から出てくる者はいない。
【少女】
えー、そうなんですか……
【ミユウ】
さぁ、ここは危険だ。
日が落ちる前に早く帰りたまえ。
【少女】
はぁい。
【ミユウ】
そのかわり、僕等が魔導院に戻ったら、
君のお母さんを探して君のことを伝えよう。
【少女】
本当!? お母さんに会える?
【クイーン】
ええ、約束します。
ですから、今日のところはお家に帰りましょうね。
【少女】
うん!
【クイーン】
魔導院の維持に必要な人物として認められれば、
一家揃って島内で生活をすることができます。
あの子の母親は、その権利を得るために
働いているのでしょうね。
【ミユウ】
娘を少しでも(間違ってスキップして分かりません。)
【クイーン】
島内は強力な結界で守られている上に、
住民の多くが一騎当千のアギト候補生ですからね。
オリエンス中を探しても、あの島より安全な場所は
他にありません。
【ミユウ】
モンスターの行動が活発になっただけでなく、
最近、各国の動きにも不穏なものがあるからな。
戦乱の足音 第二話
あっ、アギト候補生様だ!
【村人】(女)
こんにちは、アギト候補生様。
良いお天気ですね。
【ミユウ】
ああ、こんにちは。
この町の人にとって、候補生は珍しい存在ではない。
なにしろ魔導院は目と鼻の先なのだからね。
【村人】(男)
最近、この町のそばでモンスターの姿を
見かけるようになりました。
つい先日も、街道に現れたという話です。
大丈夫でしょうか?
【クイーン】
わかりました。
急ぎ、討伐体を編成しましょう。
【村人】(女)
今年はいつもより食糧が高くて困っています。
どうにかなりませんでしょうか?
【クイーン】
そちらはアギト候補生の任務と関係ありませんが……
議会に申請しておきますね。
【村人】(女)
ありがとうございます。
【ミユウ】
こうやって、皆の悩みを聞くのも生徒会の
仕事の一つになっている。
アギト候補生として、僕等のやるべきことは
定かではない。なら--
どうせなら、人々の問題を解決してまわれば
効率的だと思わないかい?
【少年】
アギト候補生様! アギト候補生様!
僕、どうやったら候補生様みたいになれますか?
【ミユウ】
これはまた、将来有望な後輩が現れたものだな。
そうだな……才能もあるが、一番大事なのは
心の持ちようだな。
【少年】
こころ?
【ミユウ】
そうだ。世のため人のため……
常に自分がどうあるべきか考え、志を高く持つことだ。
【少年】
ふーん。
わかりました!
【ミユウ】
ご両親の言うことを聞いて、その手伝いをして
勉強も嫌がらずにやるんだぞ。
【少年】
はーい!
【ミユウ】
あの子の将来を守るためにも、アギト候補生として
僕等は世界を、よりよい方向に導かなければならない。
【クイーン】
責任は重大ですね。
戦乱の足音 最終話
さて、○○○○。
今日、生徒会と共に活動をして、どうだったかい?
魔導院では多くのアギト候補生が、アギトを目指し
日々研鑽を続けている。
そのこと自体は正しいのだろう。
アギトに至ることこそが、アギト候補生の本分だからね。
だが、皆が遥かな高みを目指そうとするあまり、
足元がおろそかになっている気がしているのだ。
【クイーン】
魔導院にこもっていては、
人々が何を求めているのかを知ることはできません。
だから生徒会は、こうして少しでも多くのことを
知ろうと活動しているんです。
【ミユウ】
人はそれぞれが意志を持ち、バラバラに行動する。
自分たちを敵と味方にわけ、殺しあうことすらある。
だがそれは、単に個々の限られた視野で、
選択をしているにすぎないからだ。
一人の人間が持つ知識は狭く、浅い。
大局的に見れば、何も知らないと言ってもいいだろう。
それまで正しいと思っていたことは、見方を変えることで
正しくなくなることもあるのだ。
しかし、だからこそ人は、より良き未来を目指し、
さまざまな未来を描けるのだと思っている。
【クイーン】
不完全な者が、より良くなろうとすることに意義がある。
ミユウさんの持論ですね。
【ミユウ】
ああ。少しでも君に僕の考えを知ってもらえたのなら、
外出した甲斐があったというものだよ。
それでは、僕等の魔導院に帰ろうか。
【クイーン】
では、あちらの丘を通って帰りませんか?
あそこからだと、魔導院がよく見えるようですよ。
ええと、誰に聞いたのでしたっけ?
【ミユウ】
そうだな。
たまには寄り道して帰ろうか。
外伝3
確執
それは、魔法局、内務局、渉外局、編纂局
兵站局、学術局、院生局の7つにルシを加えた
朱雀の最高決定機関である
【軍令部長】
……私のつかんだ情報は以上だ。
白虎は明らかになんらかの軍事行動を
起こそうとしている!
つまり我々も、それに対する備えを、
早急にせねばならんのです、議長!
【カリヤ】
なるほど。確かにこの白虎の動きには
不穏なものがありますね。
その対策として、軍令部の予算と権限を
今以上に高めたいということですか。
【兵站局局長】
この資料を見る限り、白虎国内でなんらかの
動きがあったのは事実でしょう。しかし--
だからといって、白虎が朱雀へ侵攻してくるというのは、
飛躍しすぎではないでしょうか?
【院生局局長】
各国のクリスタルはルシによって守られています。
クリスタルが危機に陥った場合、4時間ほどで
ルシがクリスタル防衛に動き出します。
そして、ルシは軍隊をも凌駕する力を持っている。
白虎元首のシドも馬鹿ではありません。
魔導院へ攻めてくるとは思えませんが……
【軍令部長】
白虎側のルシが参戦すれば、そんなものは覆る!
【カリヤ】
ルシが動くのはあくまでクリスタルのためです。
これまで、一度として人の都合で動いたことは
ありませんでした。
【軍令部長】
白虎のルシが最近替わったという情報があるのです!
まだ人としての自我を残しているかもしれません。
【兵站局局長】
その可能性は否定しませんが……
【アレシア】
くだらないわね。
私はここで失礼させて貰うわ。
【軍令部長】
なっ、なんだと!?
【アレシア】
そもそも、ここはそういった話をする
場所ではないわ。
【院生局局長】
そうですね。八席議会はアギト候補生を
アギトとして育成するための組織です。
政治の話をする場所ではありません。
【アレシア】
魔導院にとっての最優先事項はアギトとなる
候補生を育成すること。
それ以外の議論は時間の無駄よ。
【軍令部長】
そのような悠長なことを言ってられる場合では
ないということがわからんのか!
【アレシア】
あなたと同じことを、朱雀ルシである
あの2人が言うと思う?
【院生局局長】
軍令部長、あなたはあくまでルシの代理として
この場にいるのです。
あなた個人の見解を語るべきではありませんね。
【カリヤ】
本日の議会はここまでとしましょう。
軍令部の扱いについては、後日に改めて
会議を行います。
【アレシア】
そんなくだらない会議には、
呼ばないでほしいわね。
私は欠席させて貰うわ。
【軍令部長】
誰も現実を見ておらん!
戦いは先手を打てるかどうかだ!
白虎に攻め込まれてからでは遅いのだぞ!
外伝4
力の座
【エース】
教えてくれ、マザー。
アギトとはいったいなんなんだ?
どうしたらアギトになれる?
僕はアギトになって、皆を救いたいんだ!
【アレシア】
アギトになるには、力の座を
手に入れなければならないわ。
【エース】
力の座?
【アレシア】
優しさ、知、勇敢、純真、執着、認識……
人には様々な力がある。
そういった力を適切に司ることで
アギトになることができると私は考えているの。
【エース】
じゃあ、僕にそういった力があれば
皆を助けられるんだね。
【アレシア】
そうね。でも……
あなたが司っているのは、そのうちの一つだけ。
【エース】
たったの一つ……
それじゃあ、僕はどうしたらいいんだ。
伝説の0組なんて言われても、
皆を助けることができない!
【アレシア】
そんなに悲観することはないわ。
ほとんどの候補生はその一つすら持っていない。
それだけ、あなたは特別なのよ。
そもそも一人の人間の器には、すべての力の座を
納めることはできないのかもしれないわね。
【エース】
都合のいい救いなんてないってことか。
戦いが始まった。
友達が戦っているんだ。
僕も、もう行くよ。
今までありがとう。
そして、さようなら……
【アレシア】
さよなら、エース。
また、会いましょう。
アギトに最も近い者
【イザナ】
なあ、エース。
お前、どんな子にピンとくる?
【エース】
なっ!
なんだよ、突然!
【マキナ】
そいつはオレも聞いてみたいな。
誰か、これは! ……ってのは居ないのか?
【イザナ】
アギト候補生ってだけでも特別なのに
伝説の0組様だからな。よりどりみどりだろ。
【マキナ】
正直に言えよ。
なんなら紹介してやるぞ。
【エース】
うーん。
総代とか、クイーンとかかなぁ?
【イザナ】
おっ!?
意外な名前が出てきたな。
【エース】
あとは、マキナか。
【マキナ】
オレ!?
【エース】
皆凄いけど、やっぱりこの三人は特別だと思う。
魔法力も、知識も、飛び抜けているよ。
【イザナ】
それって、優秀なアギト候補生として
ピンときたってことかよ。
【マキナ】
オレたちが聞いてるのは、そこじゃないよ。
ウザくない子が好きとか、胸は小さい方がいいとか
そういうのがあるだろ?
【エース】
そんなこと言うなら、マキナが先に……
……
……いや、別にいいや。
【イザナ】
そうだぞ、エース。
わかりきったことを聞いてもしょうがないだろ。
【マキナ】
なに二人して笑ってんだよ!
【イザナ】
まぁ、コイツの名前が出たのは社交辞令として、
ミユウ総代とかクイーンってのはやっぱ凄いのか?
【エース】
あぁ。あの二人は強いよ。
ただ、そういった強さがアギトに繋がるとは限らないけど。
【マキナ】
案外、家庭的とか気配り上手とかがアギトの条件
だったりしてな。
【エース】
そうなると、あの二人じゃなくて
別の名前が出てくるな。
【カヅサ】
あれ、クラサメ君。
今日のお弁当は手作りなのかい?
【クラサメ】
栄養管理も出来て、経済的だ。
これはこれで悪くない。
【エミナ】
あ、いたいた。クラサメくーん。
クッキーはうまく焼けた?
【クラサメ】
もらったレシピ通りに作ってはみたものの、
甘いものは、いまいちわからん。
味見をしてくれないか?
【エミナ】
おいしい!
これなら、みんな喜んでくれるよ。
【クラサメ】
そうか……
なら、安心だ。
【イザナ】
あり……なのか?
【マキナ】
いや、なしだろ!
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